Vol.6 『コンピューター版IELTS:CDIとは』

IELTS講師の小玉です。私自身もIELTSの授業を担当しつつ、毎年4回程度は本試験を受けています。このコラムではその中でお役に立てると思ったことをお伝えします。


3月27日から日本でもコンピューター版のIELTSであるCDI (Computer-delivered IELTS)が受けられるようになりました。今までもUKVIでは東京(飯田橋)でCDIが実施されていましたが、通常のIELTSで導入されるのは初めてです。会場は飯田橋のブリティッシュカウンシルでのみです。

Speakingは従来の対面式で、残りの3セクションがコンピューター画面での試験となります。次のURLでは各セクションの画面を解説したYoutubeの映像を見たり、様々な形式のサンプル問題を解きながら各セクションの試験画面の機能を試したりすることができます。CDIの試験を受ける前に必ず練習してください。

Listening
Academic Reading and Writing
General Training Reading and Writing
※試験画面の表示は問題形式ごとの”Launch sample test“というリンクをクリック。

 

日本でのCDI実施と申し込み

2019年5月以降は平日のほぼ毎日、東京(飯田橋)のブリティッシュカウンシルで受験が可能です。申し込みはウェブサイトから行います。

試験日には午前中にSpeaking試験を個別に行い、午後2時~5時に残り3セクションの試験を一斉に行います。Speakingの試験時間帯は申込時に先着順で選ぶことができ、10時00分頃~13時00分頃に20分毎に開始する日程が組まれているようです。表示されない時間帯は既に埋まっているということです。

2019年5月12日追記
日によっては午前中に3セクションの試験をしてから、午後にSpeakingという日程もあるようです。

2019年7月14日追記
2019年8月22日からはJSAFでもCDIの受験が可能になります。
ブリティッシュカウンシルでは2019年8月には日曜日にも試験が設定されています。

スコアは試験日の7日後の13時にオンラインで確認できます。スコアシートは宅急便で指定住所に発送されます。ペーパー版では13日後の発表なので、CDIの方が早くスコアを知ることができます。

 

CDIの特徴:Speaking以外の3セクション共通

※Speaking試験は対面式ですのでペーパー版と変わりません。

受験者によって問題が異なる
CDIは同じ日に同じ部屋で受けたからといって、同じ問題になるとは限りません。何パターンあるかも不明です。

メモ用紙と筆記用具は渡される
3セクションの試験中はメモ用紙と筆記用具が渡されるので手書きのメモを取ることは可能です。ただし、便利なのはWritingのアイディア出しのときのみです。Reading中はメモを取る必要はないですし、Listeningでは答えを書いて後でタイプするという時間的な余裕はありません

メモ用紙は1セクションが終わったら交換となりますので、他のセクションの答えをメモしておいて後で使うということはできません。

本文や設問のハイライトが可能
設問や本文の文字はドラッグして選択した後、右クリックするとHighlightとNotesの2つのメニューが出てきます。Highlightを選ぶと黄色にハイライトされます。Notesを選ぶとメモを入力できますが、実用的ではありません。黄色くハイライトされた部分をさらに右クリックするとNotes、Clear、Clear allの3つのメニューが出てきます。Clearは1つだけハイライトを消します。Clear allはそのページの全てのハイライトを消します。消してしまったハイライトは戻せないので注意してください。

キーボードのショートカットは使用可能
試験画面ではWindowsで標準的に使う次のショートカットが機能します。
 Ctrl + Z 「元に戻す」
 Ctrl + Y 「繰り返し」 ※「元に戻す」の取り消しに使える
 Ctrl + X 「切り取り・カット」
 Ctrl + C 「コピー」
 Ctrl + V 「貼り付け・ペースト」

Readingでは抜き出し問題で便利です(後述)。また、Writingではこのショートカットを知らないとコピペなどの編集ができません(後述)。

書き取り問題の空欄は語数制限が掛かっていない
ListeningやReadingのスペルで答える問題は、空欄に答えをタイプすることになります(Readingでは本文からのコピペも可能)。しかし、語数制限を超えてタイプすることもできてしまいます。必ず語数制限を確認して、その通りに答えてください。

周りの雑音が気になる可能性も
狭い部屋で最大10名が密集して試験を受けるため、クリック音やタイピングの音が気になる可能性があります。

画面で文字を見るのに慣れているかどうか
各セクションでは画面上で文字を見ることになります。特にReadingでは60分の中で長い文章を読まなければなりません。画面上で文字を見ることが不得意な人には、CDIは向かない可能性があります。

 

CDIの特徴:Listening

ヘッドフォンで音がクリア
教室でのスピーカー放送と違い、ヘッドフォンできれいな音を聞くことができます。音量も画面上で簡単に調整が可能です。ヘッドフォンは長さの調整が少しやりにくいため、試験開始前の音量チェックの際に、自分の頭にフィットするように調整されることをお勧めします。

冒頭の説明の間に設問を見ることが可能
ペーパー版では試験開始直後の説明が流れている最中は問題を見ることができませんが、CDIではこの時間から設問が表示されており、全ページを見ることが可能です。少しの時間も無駄にせず、Highlight機能を使ってキーワードチェックをしてください。

例題はなく、セクションの終わりは45秒、最後は2分
ペーパー版との時間設定の違いは次の通りです。
– Section 1に例題はない(ペーパー版は必ず例題がある)。
– 各Sectionの終わりの見直し時間は45秒(同30秒)。
– Section 4終了後の確認時間は2分間(同10分間)。

書き取り問題ではタブキーを押して設問を移動
書き取り問題ではフィールドに答えをタイプします。音声を聞きながらその場で入力するしかありません。鉛筆でメモして後からタイプするのは無理です。次の設問に移るときにマウスを使う必要がありません。タブキー(Qの左隣)を押すことで移動が可能です。一つ前の設問に戻るときは「Shift+タブキー」です。

 

CDIの特徴:Reading

分割スクリーンで本文と設問が見やすい
スクリーンの左半分に本文、右半分に設問が表示されます。ペーパー版のようにページをめくる必要がなく、設問と本文との間を行ったり来たりするのが楽です。

抜き出し問題はコピペでスペルミスを回避
抜き出し問題は本文の答えとなる単語をドラッグで選択して「Ctrl+C」でコピーし、解答欄に「Ctrl+V」でペーストすることができます。コピペで答えればスペルの写し間違いはなくなります。ただし、余計な文字や空白、コンマなどをコピペで入れてしまう可能性があるので気を付けてください。

headings問題は選択肢のキーワードのハイライトが不可
headings問題は、当校では事前に選択肢のキーワードに印をつけてから本文を読むことをお勧めしています。しかし、CDIでは右側の設問にある選択肢を、左側の本文の各段落最初にある枠にドラッグして解答します。選択肢がドラッグするためのアイコンのようになっており、文字をハイライトすることができません

NG問題と4択問題は設問を選ばないと答えを再確認できない
T/F/NG問題とY/N/NG問題、そして4択問題では、設問のみが画面右側に一覧で表示され、選択肢(と自分の解答)は見えない状態になっています。各設問をクリックして始めて選択肢や自分が既に選んだ答えが表示されます。他の設問を見ようとすると、前の問題の選択肢は再び見えなくなります。NG問題でYes、No、Not Givenのバランスを見たいと思っても一覧で見ることができません

 

CDIの特徴:Writing

タイピングができ、編集も楽
ペーパー版の手書きと違い、タイピングができるので答案作成が速くできます。編集も簡単で文の順番の入れ替えは上記のショートカットキーを使うことでカットとペーストができます。Introduction、Bodyのトピックセンテンス、Conclusionを全て書いてから、Body段落の中身を埋めていくという、TOEFLのような答案作成方法が可能です。語数は表示されますので、あとどのくらい書くべきか簡単に分かります。

ただし、当然タイピングが遅い場合はかえって不利ですし、ショートカットキーを知らないと編集が満足にできません。TOEFLのようなcut、paste、undoといったボタンはありません

 

CDIを選ぶべき理由

日本では現在は平日しか実施されていないとはいえ、CDIは利点の多い試験です。Writingをタイピングで作成できる、Listeningをヘッドフォンのクリアな音で聞けるというのはペーパー版には絶対にないメリットです。パソコンの操作が苦手でない方は是非、受験を検討してください。

2019年5月5日
IELTS講師 小玉

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